2012魔の予選

魔の予選

合格40名の狭き門

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学ドリといえば、予選の「パイロン卍」が名物。2005年の第4回大会から採用され、第6回からは進入路(はじめのターン)が左右どちらになるかわからないクジ引き方式になった。いちおう予選方式は毎回「直前まで秘密。公平でありそれほど困難でないように決める」と告知されているけど、これを超える選抜方式はちょっと考えられないよなぁ。

半数以上が「基礎テク」に涙を飲む

2012primary_02.jpg 100名以上がパイロン卍の成功率で半分以下に絞られるドリコンなんて、学ドリをおいてほかにない。
 このような特殊な予選方式が決まった理由はふたつある。ひとつは公平さ。大会開催地で練習できるひとは限られる。遠方の参加希望者には負担だろう。そこで、だれもがおなじ条件で、純粋にテクニックを診断する方法はないか…と考えて導きだされたのがパイロン卍なのだ。
 そしてもうひとつ。カンタンそうでも、1発勝負で1台づつ全員のまえで挑戦するってのは、決勝戦とおなじ緊張感を味わうはず。プレッシャーに耐え切れず、できることもできなくなる。これはD1でもおなじ。つまり、学生ドリフター全員に、最上級の緊張感を味わってほしかったんだ。
 そりゃあしょっぱなはすごい反響だったよ。「そんなのやったことない!」「せっかくコースを練習してきたのに!」などなど、審査員に食ってかかるヤツも少なくなかった。
 しかし、ドリ天は押し切った。そして、参加者に受け入れられ、いまとなっては学ドリの本質にもなっている。パイロン卍には、言葉では現せない、体験した者にしかわからないむずかしさがあるんだ。
 職人ばりに正確に刻む者もいれば、最低限のアクションでミスを抑える者もいる。なぜかパイロン卍に芸術を求め、想像を絶する進入スピードで「みんなのドギモを抜いてやる」とばかりに失敗を恐れないクレイジーなヤツもいる。
 そこで生まれた賞が「パイロン王子」。100点を超えるパフォーマンスを見せた者だけに与えられる称号だ。通ればいいだけの予選に、決勝とおなじだけの気迫で挑むのだから、成功した者は評価される。参加者全員が讃える。
「優勝できなかったとしても、パイロン王子は狙いたい」と夜な夜な練習している学ドリ予備軍も多いと聞く。学ドリは表彰台に登らなくてもヒーローになれるんだ。
 パイロン卍を笑う者はパイロン卍に泣く。1年間の努力が朝イチに水泡に帰す可能性もある、シンプルでデンジャラスなドリコンの新しいカタチ。学ドリの予選は、それだけでどんなイベントよりも見応えがある。

西大会パイロン王子 黒田佳孝 HCR33
20才 愛知工業大学 最終成績:ベスト8

2012primary_04.jpg弱冠20才ながら予選経験はこれが3回目。2010年に免許取りたて高校生で出場していきなりベスト20に残り、翌年は7位に食い込んだテクニシャンだ。3年目の今年は、応募用紙にも「目標は表彰台ですが、今年はパイロン王子も狙っていきます!」と明記してあった。有言実行とはこのことだね。パワーとナックルがノーマルのまま挑むことをポリシーにしてきた。フロントATRスポーツ、リヤがケンダ。ともに215/45-17だ。

東大会パイロン王子 馬場裕平 JZX100
日本自動車大学校3年 最終成績:1回戦落ち

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「アンパイでクリアするヤツより、あきらめずに挑戦するヤツを評価する」と予選まえに審査員。そのまんまの予選で審査員のハートを掴んだのが馬場くんだ。恐ろしいほどの進入速度でカベに迫り、テールを激しくヒットしてやや戻るものの、不屈の根性で卍を続けた。本来であれば大きな減点になるんだけど、審査員は「あのガッツはすごい! あれだけブツけたらフツーは乱れる」とつけたプラス評価が、マイナスを大きくうわまわったんだ。TD06-25G仕様で、R1Rの225/35-18、リヤがケンダ235/35-18だった。