4回も学ドリに出場した鉄人級が、今年は4名もいた。学校を卒業したらもちろんのこと、24才の年令制限があるため、毎年何人かが「今年で最後の挑戦」になる。この4名もそう。残念ながらいちども表彰台には立てなかったけど、学ドリの歴史を語るうえで欠かすことのできない存在としてここに敬意を表します!
さらば、ミスター変顔!
撮影スタッフを笑わせてくれてありがとう!
[東大会]竹田和明 24 静岡工科自動車大学校
2009年 予選落ち
2010年 1回戦46位
2011年 2回戦19位
2012年 1回戦25位
去年の学ドリの写真ファイルのなかには、コイツのぶんだけで200枚ほど保存されている。カメラを向けるとつねに変顔。取材スタッフやカメラマンをいかに笑わすか、そればかり考えているようなアホだった。
しかし、今年の応募用紙には意外なことが書かれていた。「今回は超ふざけるのはやめて、最後までオレにつきあってくれたひとに感謝したい」と。今年の竹田は、これまで以上に勝ちを強く意識していた。
しかし当日、開会式での竹田は、やっぱりブッチぎりにふざけていた。ほとんど半裸で、彼女のパンツを着用し、最前列で主催人に絡んでバカなことばかりしていた。クルマには例年どおり意味不明なことがマジックで書かれ、加工した写真があちこちに貼られていた。その完成度があまりにもチープでバカバカしいから「コイツ、変わってないじゃんか〜。今年もアホ番長決定だなー」と安心していたんだよね。
でもきっと本心はちがったのだろう。これまでの3年は「みんな学生のくせにクルマにカネをかけすぎ! 腕で勝負しろ!」と最低限のモディファイで参加してきたのに、今年はナックルを組んできた。
しかし、運命の女神は彼に味方しなかった。きっと、ずっと連れ添って行動しているかわいい彼女にヤキモチをやいていたんだろう。彼のシルビアは予選まえにヘッドガスケットが抜けはじめ、予選は通過したものの、1回戦で深刻なオーバーヒート状態に…。結局、ナックルの効果は生かし切れなかった。
1回戦の前後でようすを見にきた取材班にはあいかわらずひょうきんな顔芸を披露していたけど、表彰式のまえに気がつくと会場にいなかった。あまりにもくやしく、その場にいたくなかったそうだそうだ。
先輩を慕い、学ドリを愛し、日光ですごす時間をだれよりも楽しんでいた男。自慢できる成績は残せなかったけど、ドリ天はきっといつまでも彼の存在を忘れないだろう。
クールにきめた熱いヤツ!
妥協なしに挑んだ4年間!
[東大会]金定民 24才 神奈川工科大学
2009年 予選落ち
2010年 予選落ち
2011年 14位
2012年 1回戦22位
バッキバキにロールバーを組みまくったシルビアを武器に去年は14位。RX6タービン仕様で、学ドリマシンとしてはオカネがかかったほうだったと思う。
それが、学ドリのあとエンジンブロー。がんばって稼いだバイト代をすべてつぎ込んで作り上げただけに、空しさをかんじ、ドリフトそのものをヤメようと思ったそうだ。
しかし、彼は立ち直った。「壊れたのは自分のせいだ」と頭を切り替え、痛んだボディにも見切りをつけ、最後の学ドリに挑んだ。
データバンクのページにもあるけど、走行会に参加した回数とバイト代は全参加者のなかでもダントツ。それほどバカやらずクールなイメージだけど、その数字が彼の学ドリに賭けた熱さを証明しているよね。
卒業宣言を撤回してリベンジ!
協賛企業に内定して生涯学ドリ宣言!
[東大会]牛久 徹 22才 駒澤大学
2009年 予選落ち
2010年 2回戦21位
2011年 1回戦43位
2012年 1回戦40位
「最初の年は自分のレベルを理解しておらず、つぎの年は逆境のなかやれるだけやったけどあと少しのところでダメ。去年は車検もなくてほとんど乗らず、あまく考えすぎでした」と過去の学ドリを振り返る牛久くんは、去年の応募時には「今回が最後の挑戦です」と明言していた。
しかし、学ドリが終わり、自分を見つめ直したすえに方向転換。「悔いが残ったのなら、そこで終わりにできない」と、車検つきのクルマを入手し、就職も決めて、最後の挑戦に全力で挑む準備を整えた。
就職先を聞いてビックリ。なんと学ドリのスポンサーをしているアップガレージ! 動機は今後も学ドリに携わるため!
最後の学ドリは、自分自身のためだけじゃなく、早くも協力企業の新人としてまわりを見ていたようなフシもあった。
表彰式では「オレにも話させてください」とマイクを取り、みんなのまえで学ドリに賭けた4年間の想いをブツけてくれた。
最後の学ドリが終わった感想は「気持ちよかった!」だった。応援に来てくれた学ドリOBも、彼の奮闘ぶりを見て、ドリフト熱が再燃しているそうだ。
低さにこだわり、挑みつづけた!
ミスタートレノと呼ばせてくれ!
[西大会]上田祐揮 24才 名城大学
2009年 予選リタイヤ
2010年 2回戦17位
2011年 2回戦10位
2012年 ベスト8
2009年の備北が第1回目の参加で、コースインしてすぐに廃車。それから毎年成績をあげてきて、今年は見事ベスト8。成績とともに進化したのがシャコタンぶりだ。去年も今年も西大会でダントツの低さだった。
最後の今年はオールペンもして、さらに低くなっていた。去年の学ドリ白書で東大会の180SXが「シャコタン番長」と書かれていたのを見てくやしかったそうだ。
学ドリ界のミスターハチロクといえば、最多5回の記録をもつ山本くんが思い浮かぶけど、あっちは2ドアレビン。上田くんはずっとトレノ(1、2回は3ドアで3、4回は2ドア)。ミスタートレノの称号を捧げましょう!
名城大学自動車部では部内に車高短野郎が多いらしく、今後の学ドリでも名城大学=シャコタン大学のイメージになるといいなぁと後輩に期待していたぞ。