3位の呪縛

3位の呪縛

繰り返される因縁の対決

3rd_place01.jpg

大同大学+マインドコントロール VS 日本自動車大学校+モッコマンズ

大同大学の粂が 背負った、運命の系譜

東大会の決勝トーナメント、準決勝。田口くんと粂くんの対戦。ピットレーンに2台が並んだとき、記憶の奥底にあるデータがフラッシュバックした。大同大学と日本自動車大学校? これって、去年の準決勝とおなじではないか!

大同大学、NATSに負け越す!

3rd_place02.jpg  去年の準決勝を制したのは、もちろん優勝した田口くんで、負けた山田くんは3位になった。そのときまわりのみんなが言ったのが「大同はまた3位か!」だ。
 なぜなら、かつて大同大学では学ドリで2年連続3位になった男がいた。マインドコントロールの河村くんだ。彼は東西統一戦でも3位になったことで「学ドリ界のミスター3位」という伝説を残している。
 この勝負に粂くんが勝てば大同大学の最上位となり、万年3位大学の汚名も晴らせるうえ、日本自動車大学校との対決もタイに持ち込める。とうぜん田口くんの連覇も阻止できる。
 ちなみにこれまで大同大学からのエントリーはすべて自動車部。そして、粂くんは現副部長を務めている。体育会系自動車部のメンツがかかっているとなると、プレッシャーは大きい。意地でも年下の専門学校生には負けられない。
 さらに、この対戦はもうひとつ重要な意味を持っていた。チームの看板だ。
 前述の河村くんが3位になったとき、破れた相手は日本自動車大学校の浅沼くん(東大会2位)。思い返せばこのときから日本自動車大学校と大同大学の戦いがはじまったワケだけど、河村くんはマインドコントロールのメンバーで、浅沼くんはモッコマンズのメンバー。つまり、地区はちがえどストリートを主戦場とし、地元じゃ一目おかれているチームどうしの対決でもあったのだ。
 結果は田口くんの勝利。大同大学は負け越してしまった。正直に言うと、ドリ天は粂くんを応援していた。田口2連覇もいいネタだけど、やっぱ人情ってあるじゃない?本当に手に汗握る1戦だった。
 なお、マインドコントロールとしては、2009年に石橋くん(名古屋大学)が西大会優勝から東西統一戦も制している。
 学ドリでもっとも熱いチーム対決、それがモッコとマイコンなのだ。

粂の実力の高さは統一チャンプも認めるほど

3rd_place03.jpg 惜しくも負けた粂くんは、学ドリ初参戦。去年は応募したものの書類選考落ちで「書類で伝わらなかったのかなぁ? まわりでひとりだけ落ちて、ドリフトヤメようかと思うほど落ち込んだ」と去年を振り返る。自動車部員として、現地には応援部隊として来ていたっけ。
 そのぶん今回は必勝を誓い、学ドリ1週間まえから日光に入り、前日以外は車中泊しながら3回の走行会に参加。その効果はバッチリで、予選こそギリギリの42位通過だったけど、1回戦4位通過、2回戦3位通過と、あぶなげなく勝ち上がった。
 決勝トーナメントに進出すると、仲間たちから「また3位になったらどうするよ」と冗談半分でチャカされたようだ。なんせ彼のシルビアは河村くんから購入したからね(伝説の3位シルビアではなく、卒業後に作ってしばらく使っていた学ドリ未経験車)。よくもまぁ3位に縁が深いことですな。
 落ち着いたころ本人と話しをしたら「順位はおなじでも審査員の得点は山田先輩よりうえでしたヨ」とちょっとだけうれしそうだった。
 印象的だったのは、東の決勝トーナメントを見守っていた大久保くんの話。「1位と2位はまぁまぁ、でも、あのマイコンは怖い。1発の煌めきがありますから」と、しっかりマークしていたんだよ。
 初年度で3位。弱冠21才。フツーに考えたら立派すぎる。来年の春に卒業だなんて…。もう1年やってみない?