今年の「ミスター学ドリ」はコイツ!
「義理と人情!」「借りを返す」を行動で示した!
國分勇希 21才
国際情報工科大学校 福島県郡山市在住 シルビア(PS13)
閉会式で「なにか言いたいヤツはいないか!」のドリフト侍の誘いにすぐさまマイクを受け取り「オレ、去年の学ドリで走れる本数がぜんぜん少なくて…。やっぱクルマ壊れてるひとたちに走ってもらいたくて…。クルマ壊れて勝負できないのはやっぱ…すごい悔しいから…。オレも自分の腕、証明したくてほんと、1年間苦しくて…」と泣きながら思いをブツけた。今年で最後と聞いて残念だと思ったのはドリ天だけじゃないはずだ。
彼の活躍抜きに今年の学ドリは語れない!
あるときは工具、あるときはパーツ、そしてだれがか始動不良を起こせばいちはやく押しがけを手伝うし、コースにオイルが散れば率先して石灰を撒きに駆けつけ最後までホウキを持っていた。もしかして運営スタッフよりも参加者のことをよく見て、会場の空気を読んでいたかもしれない。それが國分くんだ。
去年、はじめて出た学ドリが彼の生きざまを変えたのかもしれない。前日からクラッシュで壊れたクルマを周囲に助けられて復活させ、それでも0.5ポイント差で予選不通過。発表で名指しでそれを言われたのだからショックも大きかっただろう。
「あれだけみんなに迷惑をかけたのに、なにもできなかった自分が情けなくて…」と今年の参加表明では「支えてくれたひとのために走る!」と強くアピールしてきた。「感謝」「恩返し」「学ドリをもりあげる」などなど、そこにはだれよりも熱い言葉が散りばめられていた。そしてなによりこの1年、0.5ポイントの無念が消えることがないことも…。
そんな彼だけに、走りでも目立っていた。赤と黄色でシンプルに決めたシルビアはパドックでも目立っていて、練習走行から冴えた走りを見せつけ、だれもがベスト8まちがいなしだと予想していただろう。1回戦まではシングル通過だったからね。
そんな存在感なのに、トラブルが起きればどこでも駆けつけるのだから、頼もしいを通り越して笑っちゃった。だってだれかが困ってコントロールタワーに駆け込んでくると、その放送を聞いてすぐに「はーい! オレ持ってますよ〜!」ってニコニコしながら走ってくるんだもん。もしかしてこいつ、走るよりひと助けが趣味?
念願のベスト8には届かなかったけど、自分の走行が終わっても残った連中が走り続けるためにラジエターに水かけたりタイヤ交換のサポートしたりと休むヒマもなく動いていた。とくに東西統一戦ではまるでメカニックのようにベスト4をサポートしていたっけ。
記録より記憶という言葉があるけど、それは走りだけじゃないんだと思った。学ドリに全精力で挑み、全参加者を仲間として付き合った彼の存在を忘れる者はいないはずだ。
去年の学ドリで作った借り、まちがいなく返せてたぞ國分くん!