涙で幕を閉じた絶対王者

黒田佳孝・涙で幕を閉じた絶対王者

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砕かれたパイロン王子3連覇の夢
それでも男は前を向いて歩き続ける

愛知工業大学
スカイライン(ECR33)

kuroda02.jpg  パイロン卍直前の黒田くんは自信に満ちあふれていた。きっと勝利の走りをイメージできていたんだろう。いや、じっさいにはパイロン卍の進入方向を決めるボールクジで、得意な右まわりが当たった瞬間に100%の勝ちを本人は確信していた。
 しかし…、現実は残酷だった。ストレートエンドでまさかのマシントラブルが発生し、パイロンをひとつも通過することなくエンジンが停止してしまったのだ。仲間が駆けつけるもなす術なし。黒田くんの学ドリ2014はこの瞬間、終わった。それからしばらくのあいだ、黒田くんは運転席でうつむいたまま顔をけっして上げようとしなかった…。
 黒田くんはこのできごとがショックすぎて、大会以来、愛車のECR33を見ないようにしている。友だちにもいっさい学ドリの話はせず、ドリフトをシャットアウトした生活を送っているんだ。
「学ドリはホントにサイコーですよ。すごい場所です。今後、これ以上熱くなれるドリコンなんてないと思います」。そう、黒田くんにとってのドリフトは、学ドリがすべてだった。そして、その舞台にはもう登ることはない。就職が決まっているからだ。
 ところが、本人の心はまだ揺れているらしく「もう一回学校に通って来年チャレンジしようかなぁ…なんて考えたりもします! ぎゃくにドリフトを引退しようかなーなんて考える日もあるから、わかんないですけどね」とのこと。
 黒田くんが今後どういう決断をするかはわからないけど、パイロン王子2連覇の栄光は学ドリの歴史に永遠と刻まれるだろう。黒田佳孝という学ドリフターの名とともに。だって、それだけのことを成し遂げたんだから。