2014東西統一王者

統一戦は
トラブルを乗り越えての勝利

　２４才にして初の学ドリなのは、前年まで会社員だったから。メカニックになりたくて入学し、念願かなって学ドリ参加資格をゲットしたんだ。
「チューニングよりテクで勝負」をモットーに、少ない予算はタイヤとガソリン代にまわして走り込んだとか。じっさい、クルマのスペック表を見たらほとんど空白！　タービンも純正だし外装もノーマル然としてる。
　学ドリの参加スタンスは「楽しむ！　目立つ！　カラーページに載りたい！」だから、優勝一直線なひととはちょっとちがう。もちろん優勝はしたいけど、それだけじゃないってことだ。
　なもんで、西大会はワニを載っけてお祭りモード！　１回戦２回戦と順調に勝ち進み、決勝トーナメントでは塙くんとサドンデスでギリギリ勝利。田邊さんとの対戦で負けたんだけど「最終コーナーのラインをはずしてぜんぶ狂った。名阪は最終ですべて決まるから…」と振り返る。
　そのあとは西大会４位の小島くんと仲よくなってくれくれタイムでもいっしょに走ってたんだ。これが楽しかったぶん、小島くんが統一戦を辞退して残念だったとか。
　東大会の前日、ピンクミーティングには練習がてら参加してた。そこで「キミ、学ドリで優勝すると思うからいっしょに写真撮って！」と言われたんだって。自分じゃわからないけど、ギャラリー目線だとイケてるってことがわかりひと安心。
　翌日の東大会では「来るとこまちがえたんじゃね？」って思うくらいアウェー感が襲ったらしい。参加者やクルマのノリも西よりテンション高いというか、その空気に飲まれる感もあったんだって。
　それでもお祭りモードに突入して「目立つためにはワニがなきゃダメだ！」と、初日の夜にドンキに駆け込みワニゲット！　統一戦ではふたたびワニシルビアと化していた。
　統一戦本番では緊張しまくり＆勝てると思ってなくて、宮村くんとの対戦では「ハチロク相手なら勢い重視でいかなきゃ」と攻めきった。このときの点数は１００点で、自分でも今日イチの走りだったようだ。
　決勝では江崎くん相手に「うまいしクルマもすごい。さすがにここまでか〜」と負けモードで、１コーナー進入でもやや失敗。負けを確信したけど、江崎くんはスピン。それを知らなくて表彰され、こんどは泣きモードに。
　じつは宮村くんとの対戦でパワステが壊れ、決勝戦では重ステだった。そのまえはマフラーを引っ掛けて半分はずし、抜け過ぎでパワーダウンするなどトラブルも連発してた。それでも負けないテク＆メンタルは立派だよね。
　最後までブレなかったのは、勝つことより楽しむことを大事にしてた。学ドリ＝お祭りってことを理解してた。それだけで勝てるほど学ドリは甘くないけど、スペックに頼らず１２０％の走りかどうかがすべて。「雨なのに毎回審査席まえまで吹っ飛んでくるのはアイツだけ」って古口っちゃんが言ってたように、お祭り精神は走りにもあらわれてたんだ。