「記録より記憶」壮絶クラッシュ列伝

「記録より記憶」
壮絶クラッシュ列伝

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ドリフトにクラッシュはつきものだ。しかし、学ドリで全損級クラッシュは見たくない。だけど、毎年かならず何台かはコースの餌食になってしまう。今年の全損級クラッシュは東西合わせて4台。志なかばで散ってしまったチャレンジャーに、このページを捧げる。フォーエバー学ドリ野郎!

学ドリ最多出場、ラストランは壮絶なクラッシュ…
トロフィーを獲れなかった男に"スター学ドリ"の名を捧げたい!

東西統一戦・練習走行でクラッシュ
森康宏 群馬自動車大学校

初備北で東大会代表の気合いをぞんぶんにアピール!


2009_kioku_02.jpg  連続5回目の出場、そしてこれが最後の学ドリ。新品タイヤ10本、スペアエアロまるまる1台ぶんを用意した東日本大会。万全の体制で臨んだ彼は、同校でライバルの強矢に準決勝で破れ、3位決定戦では河村に破れ、4位という不本意な成績に終った。
 実力は優勝してもおかしくないレベルだ。しかも日光はホームコース。しかし彼は走るたびに限界を超えようとするタイプ。とにかくつねに極限を求めてしまうんだ。
 東日本大会が終わった直後、ドリ天編集部に「どうしても東西統一戦に出たい!」と連絡してきた。交通費支給の関係上、3位までを予定していたんだけど「自腹で行きます! 最後の学ドリをぞんぶんにやりたいんです」と熱く迫る彼の熱意に負けてしまった。
 統一戦に賭ける彼の意気込みはハンパじゃなかった。予選のデモランではパイロン王子確実な攻めを披露し、練習走行に混じってはじめての備北を果敢に攻めて「学ドリに森あり!」をアピール。まちがいなく2位の強矢くん、3位の河村くんよりも目立っていた。
 しかし、彼は統一戦で戦えなかった。直前の練習走行で強烈なクラッシュ。修復不能に陥ってしまったのだ。もっとも学ドリに対して熱かった男を、運命の女神は最後まで走らせてはくれなかった。
 ほとんど全損の愛車を見て「やりつくしました。ありがとうございます。残念ですけど、悔いはありません」とキッパリ言った彼は、涙を流すことなく、落ち込むこともなく、自暴自棄になることもなかった。清々しいとはこのことを言うんだな、と思った。
 森康宏。学ドリ最高位4位。結局いちども表彰台に登れなかったけど、その存在はだれも忘れないだろう。「記録より記憶」という言葉は彼のためにある。

「オレ、カッコいい〜!」の絶叫は
最後までブレーキを踏まなかった自分への誇り

東日本大会・決勝トーナメントでクラッシュ
駒崎亮介 日本大学

気持ちが伝わった審査席は大いに沸いた!


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 朝からボディに「オレは負けねぇ!」とガムテープを貼った男が、ベスト8まで進出してきた。学ドリは2回目。去年はベスト25で敗退した駒崎だ。「本当は去年も出れたんですけど、初出場で目立ってやろうと1年は練習の年にしました」とのコメントが印象的だった。
 そして1年後の今大会。格段に上達した彼は、けっして高性能とは言えないハチイチの純正タービン仕様で戦い、クイックモーションで深い角度をつけ、ひときわ奥まで飛ばすファイターに成長していた。
 ベスト8の第1回戦、群馬自動車大学校の強矢と対決。
 練習走行のインパクトは審査席でも評価が高く、去年ベスト8の強矢にぜんぜんひけをとっていなかった。
 しかし、本番先行のアタックでブレーキングのタイミングがわずかにズレてしまった。これまで以上にアウトギリギリで、ちょっとヤバいなってかんじだった。
 アウト側の斜面に落ちたまま、彼はアクセルを踏み抜いた。ハンドルを戻してブレーキングしていればたんなるミスだったのに、イチかバチかの賭けにでてしまった。結果は写真のとおり、姿勢を乱したクレスタは、2コーナーアウト側の土手にそのまま一直線。
 クルマから降りると仲間が陣取る審査席に向かって一礼。すべてが終ったことを理解した彼は、割れんばかりの拍手のなか、スタッフが差し出したマイクを握りしめ「オレ、カッコいい〜!」と叫んだのだった。

西日本大会フリー走行で
全損クラッシュ2連発

上田祐輝 名城大学

朝イチの全損級クラシュで会場に衝撃が走った!


2009_kioku_04.jpg  フリー走行がはじまってすぐのこと。まさに朝イチのクラッシュ。黒のトレノが空中に浮いた瞬間、マジで血の気が引いたね。いやぁロールバーが入っててよかった。
 このトレノは59年式だから、今年の最低年式賞かもしれない。AE92後期エンジンに載せ換え、パワステもエアコンもない、まさに男のハチロクだ。
 ドリフト歴2年、ドリフトしすぎで留年、今年から学ドリに出るために自動車部に入部した21才。落ち込んでるヒマはないぜ。まだまだこれからじゃないか!

そして15分後…悲劇再び!
クラッシャー近藤がまたやった!

近藤祐輔 大阪産業大学


2009_kioku_05.jpg 上田くんのクラッシュから約15分後、またしても全損級のクラッシュ発生!
 大学自動車部で「クラッシャー」と呼ばれる彼は、約1年まえ1台目のクルマを手に入れた2日後にフレームを曲げるほどのクラッシュ。直して3ヶ月後に電柱に刺さり、でさらに直してまた4ヶ月後には壁にアタック。そしてしばらくして山で廃車クラッシュ…。
 2台目はこの180SXで、学ドリに備えて車検をとったらすぐにタービンブロー。さすがクラッシャーと呼ばれるだけのことはある。
 学ドリには応募締め切り日に参加を思い立ったんだそうだ。
 おいクラッシャー、来年も出るならロールバー組んできてな!

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