東大会優勝
東京工科自動車大学校 荒田将貴
振り出しまでが速い!振り出してからも速い!
去年の屈辱をバネに、今年はミスなく登り詰めた!
東大会優勝
東京工科自動車大学校
荒田将貴
埼玉県所沢市在住 21才
やや車高が高く、バーフェンで武装したその姿は、いまどきの大会必勝仕様のイメージ。地味っちゃー地味なんだけど、こいつの走りは地味じゃなかった。ズバ抜けた進入速度と深い角度は、ひとむかしまえのセダンのイメ-ジを完全に払拭。っていうか、学ドリでツアラーVが優勝したのはこれが初!
精神面の自己分析もできてる頭脳派も、
表彰式まえに号泣!
最終コーナーからの飛び出しがほかのだれよりも速く、そのスピードを殺すことなく全開加速して1コーナーに飛び込む。思い切って角度をつけ、アクセルを踏み抜いて立ち上がる。「学生らしい元気がある走りってのは、ヤツのことを言うんだよね。1回戦の走りを見たときに"くるな"と思ってた」とはドリフト侍。
あの斉藤太吾のご近所さんで、むかしから付き合いがあり、このマークⅡも彼に影響されて「免許取ったらドリフトする!」と高校生のときに買ったそうだ。
とにかくマジメな印象の好青年で、学ドリをお祭りノリで楽しむというより"超真剣な競技"と捉えている印象だった。じゃあ学ドリスピリットがないのかと言えば断じてそうじゃない。逆に、学ドリの存在意義をもっとも真剣に考えてた男といえるだろう。
去年が初出場で、1回戦の本番2本を連続スピン。あまりの悔しさに自分の不甲斐なさを知るとともに、決勝トーナメントを観戦していて感動しまくったそうだ。
「走りにも感動したし、表彰式で3位の河村さんの男泣きに感動してもらい泣きしてました。今年1年、死にもの狂いで練習してきたので、必ず優勝して表彰台のてっぺんで男泣きします!」とは応募時の意思表明。
最後の挑戦となる2010年の夏に向けて、とにかく「勝って泣くために、もう本番でミスしたくない!」と努力してきた。
テクニックだけじゃなく、精神面もそう。去年のパイロン卍は、通過したけどあとでそのときの走りを思い出せないほどアタマが真っ白だった。これじゃイカンと精神を鍛えるために、今年はドリコンありの走行会、それもルーレットじゃなく単走審査を選んで出場してきた。
ひといちばい努力してきたからか、ひといちばいナイーブなところもあり「クルマに問題があるとダメになるタイプ」と冷静に自己分析。ちょっとしたトラブルを抱えていると「いいや、いっちゃえ!」とノリで行けないそうだ。高めの車高もそれで、エアロが割れると思うと集中できなくなるのでここまであげている。このまま車検に通るそうだ。
1回戦2回戦とフロントタイヤのスローパンクにちょっとメゲたけど、それも仲間のアイデアで解決し、決勝までは無心で走り切れた。でも、統一戦まえに再発し、本人は言ってなかったけど、それが原因で走りにキレがなかったのかもしれない。
今年の学ドリでの印象に残る対戦は、準決勝。おなじ4ドア乗りとして負けたくないと思った。このときはじめて駒崎くんと話しをして「どっちかがツアラーV初優勝を獲ろう!」と誓ったそうだ。
表彰台で大泣きはしなかったけど、決勝が終って村田くんがスピンしたことをパドックに戻ったときに友だちに教えてもらい(待機場所から見えなかった)、そこでボロボロと涙が…。
有言実行、とことん努力し、最後までミスらしいミスをせず、彼の学ドリは幕を閉じたのだった。
PROFILE
■在籍 東京工科自動車大学校 1級自動車整備科 ■ドリフト歴/所属チーム 2年半/なし ■月平均ドリフト回数 サーキット1回 ■ドリフトしたことがあるサーキット 日光サーキット ■おもなコンテスト成績 埼玉決戦・所沢地区2位 ■学ドリ参加回数 2回目(2009年1回戦廃退) ■車両購入価格 70万円 ■月平均にかかる費用 8万円くらい ■住居 実家 ■収入 パチンコ屋アルバイト ■彼女の有無 なし ■ドリフト以外の趣味 ゴルフ ■就職先の希望 保険会社決定
SPEC
■エンジン 純正タービン トラストプロフェックBスペック (設定ブースト0.9㎏/㎠) HKSエアクリーナー 社外インタークーラー コーヨー銅3層ラジエター ■駆動系 社外クラッチ クスコLSD ファイナルギア3.7 ■サスペンション&アーム&ブレーキ フロント Gマスタープロス車高調(18㎏/㎜) V1ナックルタイプ3切れ角アップワッシャー(5㎜) JZX110純正テンションロッド 社外スタビライザー リヤ Gマスタープロス車高調(8㎏/㎜) リヤキャンバーアーム ■外装 社外リップスポイラー BNスポーツサイドステップ/フロントフェンダー 社外オーバーフェンダー ■内装 社外フルバケットシート ジュランハンドル(35φ) 社外ブーストメーター ■ホイール F エモーションXC8(9.5J-18 off+12)+23㎜スペーサー ポテンザRE-01(255/35-18)
R ドリフトマスター(9.5J-18 off+15)+30㎜スペーサー イーグルRSスポーツ(265/35-18)
西大会優勝
関西外語大学 片山宗矩
ドリフト歴2年、学ドリ初参加、ブーストノーマル以下!?
驚異のケツ進入に全参加者がビビッた!
西大会優勝
関西外語大学
片山宗矩
京都府京都市在住 21才
年々レベルがあがっている学ドリで、初挑戦ルーキーが優勝するだなんてだれが想像しただろう。しかも、繰り出す角度がハンパじゃなかった。いまどきのドリコンでよく言われる「ケツ進入」は、だれもがめざすドリフトの究極系。片山宗矩(ムネノリ)の走りはマジで「ケツ進入」と呼ぶにふさわしく、ほかのだれとくらべても一歩抜きん出ていた。ブーストアップもしていない純正タービン車ってのが学生らしい!
驚異のケツ進入を見せられて
ライバルたちは自滅した
「とことん切れ角にこだわって作ったナックルさえあれば、タービン交換車だろうが、F1マシンだろうが、名阪で負ける気はしません!たとえ審査基準に合わない走りで優勝を逃したとしても、俺がイチバン番熱くて変態で馬鹿でドSな自信があります!! 世界一のケツ進入で証明します!」と応募用紙に書かれていたように、フリー走行からケツ進入がすごいなーと注目してたんだけど、1回戦、2回戦と進むにつれ、冷静に見るとじつはクルマがすごく遅いのに気がついた。資料によるとタービンは純正だけど、それにしても遅い。ブーストアップすらしていないのでは…。そういえばインタークーラーがバンパーから見えない。いまどき純正かよ〜。
だけど、そのわずかなパワーを100%発揮してることが走りから伝わってくるんだ。「遅いけどすげぇよ!」と審査員は彼の走りに釘付けだったからね。
あとで聞くと、1回戦の2本目からソレノイドバルブの故障でブーストがコンマ4しかかからなかったらしい。ただでさえ遅いクルマが、すげー遅いクルマになっちゃってたんだって。
「クルマが壊れたから…なんて凡人のイイワケ。だったらクラッシュしてもいいからだれにもできない攻めかたを見せてやろうかと思いました。蹴るのが奥になってもいから、すごい角度でカベに擦ってやろうかと」ってのがそのときの気持ち。
1年ちかくかけて煮詰めた加工ナックルが彼の武器で、パワーアップしないかわりに角度を巧みに操ることを考えた。そもそも2年まえまでドリフトなんで眼中になく、ドライブしたいだけで200万円も出して程度のいいノーマルを購入したため、クルマにかけるオカネを捻出できなかったんだ。
対戦を振り返ってもらうと、もっとも気合いが入ったのはベスト8の1戦目、岩城との対戦だそうだ。彼とは知り合いなのでクルマの性能も実力も知っていた。だから、これまで以上に思い切って攻めたんだけど、ハーフスピン状態に陥り、これじゃクリップまで届かないと思い気合いのインカットで届かすものの、自分のなかじゃ「負けた。終った」と意気消沈…。
しかし、後攻の岩城がまさかのスピン。つづく準決勝でも相手がスピン。そして、決勝も相手がスピーン!
「なんにもしてないのに勝っちゃったみたいで…」と本人は当惑していたけど、そんなことはないと思う。彼の異常な角度、ドギモを抜くケツ進入に相手は驚異し、その対戦相手としてふさわしくあるために、果敢にその上を狙っていったんだと思う。そしてかなわず散っていった…。
「クルマが遅くてもすごい走りができるんだ! 勝てるんだ!」と勇気づけられたヤツも多いだろうな。
彼は来年もまた出場できる。現時点で出るつもりになっている。「2011年の西大会はまたオレが獲るんで『みなさん2位めざしてがんばってください!』って書いておいてください」と大胆なこと言ってくれたけど、その裏には、獲るはずだった統一チャンプへの執念が燃えている。
こりゃ来年の西大会に出る学生、いや全国の学生が「打倒片山」で燃えることだろうなぁ〜。
PROFILE
■在籍 関西外国語大学 3回生 国際コミュニケーション学科 ■ドリフト歴/所属チーム 2年/弐回転 ■月平均ドリフト回数 ストリート10回/サーキット1回
■ドリフトしたことがあるサーキット 名阪スポーツランド・鈴鹿ツイン ■おもなコンテスト成績 関西オールスター京都予選8位、オールスター本戦1回戦敗退 ■学ドリ参加回数 初参加 ■車両購入価格 200万円 ■月平均にかかる費用 10万円くらい ■住居 実家 ■収入 ガソリンスタンドのアルバイト ■彼女の有無 なし ■ドリフト以外の趣味 エロビ鑑賞 ■就職先の希望 プロドライバー、D1GP選手
SPEC
■エンジン 純正タービン アペックスエアクリーナー NGK♯7番プラグ アールズフロントパイプ 直管デュアルマフラー SR20用アルミ2層ラジエター 触媒ストレートパイプ ■駆動系 純正クラッチ ニスモLSD ファイナルギア4.1 ■サスペンション&アーム&ブレーキ フロント HKSハイパーマックスⅡ車高調(7㎏/㎜) 弐回転ナックル宗仕様 切れ角アップラックアダプター 加工フロントロアアーム/テンションロッド/スタビブラケット リヤ HKSハイパーマックスⅡ車高調(6㎏/㎜)社外アッパーアーム ■外装 ユーラスフロントバンパー/サイドステップ/リヤバンパー 純正フェンダー叩き出し ■内装 社外フルバケットシート D1スペックハンドル(33φ) サベルト4点式シートベルト ブリッツブースト計 デフィ水温計 ピボットスピードメーター ■ホイール Fゲバルト(8J-17 off+5) フェデラルSS595(215/45-17) Rゲバルト(9J-17 off+15)+10㎜スペーサー フェデラルSS595(215/45-17)